増える外国籍児童・生徒 日本語が壁、不登校も
2008年10月16日
現場から記者リポート:増える外国籍児童・生徒 日本語が壁、不登校も /滋賀
2007.12.08 地方版/滋賀 22頁 写図有 (全1,757字)
◇初期指導教室にも限界、国レベルの制度必要 県内で外国籍の子どもが増えている。県教委の9月の調査によると、就学年次(小1~中3)の登録者は1978人。公立学校に通う1328人のうち、日本語指導が必要な子どもは860人に上り、10年前に比べて倍増した。日本語が壁となり、仲間はずれにされたり、勉強についていけず、不登校になるケースが少なくない。今年、外国人が多い長浜、湖南両市教委が日本語初期指導教室を開校し、不登校を解消する手法としても効果を上げているが、卒業後のフォローなど課題も見えてきた。【蒔田備憲】 ◆午前と午後に授業◆ 「♪ある日、森の中……」。ブラジルやペルー、フィリピン国籍の小1~中1の16人が元気よく、「森のくまさん」を歌う。湖南市梅影町のビル3階の日本語初期指導教室「さくら教室」で先月30日、開かれた第1期生の卒業式。教室に集まった親の中には一緒に口ずさむ姿も。3カ月間の成果を披露しようと、合唱の他にも詩や朗読、寸劇などを発表し、教室に大きな拍手が響いた。 室内のあらゆる備品に「せんぷうき」「まど」などの日本語が張り付けてある。廊下には、子どもの書道の作品も並ぶ。「短い間だけど、たくさんの言葉を覚えたんですね」。式に出た保護者の1人は目を細めた。 さくら教室は9月、原則として市内の小中学校に在籍し、日本語がほとんど話せない児童・生徒を対象に開設。3カ月間、午前と午後合わせて4時限の授業で平仮名、カタカナの読み書きや簡単な算数をゲームを交えながら学ぶ。給食は近くの小学校で食べ、掃除やホームルームも行う。 藤原政子室長は「初めのころ、日本語をなかなか話そうとしなかった子もいたが、発表会では、うれしそうに日本語を使っていた。日本語への不安は、かなり解消できた」と感じている。 ◆大学生スタッフも◆ 同市に先駆け、長浜市教委が4月に開校した「NAGOMI」。これまで延べ20人が卒業し、うち15人が在籍していた学校に戻った。数人の中学生から「元気にしているよ」という日本語の手紙も届いたという。 現在、通う子どもの中には小6から中3の半ばまで不就学だった生徒もいる。10月から県内の大学生がボランティアスタッフとして参加し、柴田郁造室長は「支援の幅は広がっている」と話す。 文部科学省によると、全国で初期指導教室を開いている自治体は東海地方を中心に数カ所。昨年9月現在、公立学校で日本語の指導が必要な外国人の児童生徒は過去最多の2万2413人(前年比8・3%増)に上り、同省は来年度の概算要求で、予算案を盛り込んだ。 ◆義務教育の対象外◆ 課題も多い。全国に先駆け、03年に開校した岐阜県美濃加茂市は、これまで93人の卒業生を出したが、「他市や県外に移ると、フォローは難しい」と漏らす。外国人は義務教育の対象外で、転校が制度化されていないためだ。長浜市でも卒業生のうち4人は他市や県外に移っており、「市単位の取り組みでは限界がある」と言う。 外国人の教育を研究する早稲田大大学院の川上郁雄教授(日本語教育)は「短期間みっちり学んでも、在籍する学校に戻った後も続けなければ意味がない」と指摘。受け入れる学校の姿勢については「『日本語は向こう(教室)に任せる』では、いけない」と説く。 ◆予算の壁◆ 県の財政構造改革プログラムで、学校に日本語の指導員を派遣する「外国人児童生徒ほっとサポート事業」の予算が今年度の300万円から来年度は120万程度に削られることになり、年間200回程度の派遣が半減する可能性が高い。 児童・生徒十数人を指導員2、3人が教える湖南、長浜両市の指導教室と同規模の教育を学校で実施するには1000万弱の予算が必要になる。多くの事業で県補助金が削られる中、100人以上の外国籍の子を抱える県内の自治体からも「取り組みを広げるのは難しい」という声が上がっている。 継続的な教育、転居に対応するためには、国レベルの制度設計が不可欠だ。川上教授は「日本の取り組みは海外に比べて30年遅れている。必要なのは外国籍児童・生徒を指導できる専門教員を養成すること。各教科の学習をするためには、カリキュラムを作れる教員が不可欠で、国は一刻も早く整備する必要がある」と訴えている。 毎日新聞社
2007.12.08 地方版/滋賀 22頁 写図有 (全1,757字)
◇初期指導教室にも限界、国レベルの制度必要 県内で外国籍の子どもが増えている。県教委の9月の調査によると、就学年次(小1~中3)の登録者は1978人。公立学校に通う1328人のうち、日本語指導が必要な子どもは860人に上り、10年前に比べて倍増した。日本語が壁となり、仲間はずれにされたり、勉強についていけず、不登校になるケースが少なくない。今年、外国人が多い長浜、湖南両市教委が日本語初期指導教室を開校し、不登校を解消する手法としても効果を上げているが、卒業後のフォローなど課題も見えてきた。【蒔田備憲】 ◆午前と午後に授業◆ 「♪ある日、森の中……」。ブラジルやペルー、フィリピン国籍の小1~中1の16人が元気よく、「森のくまさん」を歌う。湖南市梅影町のビル3階の日本語初期指導教室「さくら教室」で先月30日、開かれた第1期生の卒業式。教室に集まった親の中には一緒に口ずさむ姿も。3カ月間の成果を披露しようと、合唱の他にも詩や朗読、寸劇などを発表し、教室に大きな拍手が響いた。 室内のあらゆる備品に「せんぷうき」「まど」などの日本語が張り付けてある。廊下には、子どもの書道の作品も並ぶ。「短い間だけど、たくさんの言葉を覚えたんですね」。式に出た保護者の1人は目を細めた。 さくら教室は9月、原則として市内の小中学校に在籍し、日本語がほとんど話せない児童・生徒を対象に開設。3カ月間、午前と午後合わせて4時限の授業で平仮名、カタカナの読み書きや簡単な算数をゲームを交えながら学ぶ。給食は近くの小学校で食べ、掃除やホームルームも行う。 藤原政子室長は「初めのころ、日本語をなかなか話そうとしなかった子もいたが、発表会では、うれしそうに日本語を使っていた。日本語への不安は、かなり解消できた」と感じている。 ◆大学生スタッフも◆ 同市に先駆け、長浜市教委が4月に開校した「NAGOMI」。これまで延べ20人が卒業し、うち15人が在籍していた学校に戻った。数人の中学生から「元気にしているよ」という日本語の手紙も届いたという。 現在、通う子どもの中には小6から中3の半ばまで不就学だった生徒もいる。10月から県内の大学生がボランティアスタッフとして参加し、柴田郁造室長は「支援の幅は広がっている」と話す。 文部科学省によると、全国で初期指導教室を開いている自治体は東海地方を中心に数カ所。昨年9月現在、公立学校で日本語の指導が必要な外国人の児童生徒は過去最多の2万2413人(前年比8・3%増)に上り、同省は来年度の概算要求で、予算案を盛り込んだ。 ◆義務教育の対象外◆ 課題も多い。全国に先駆け、03年に開校した岐阜県美濃加茂市は、これまで93人の卒業生を出したが、「他市や県外に移ると、フォローは難しい」と漏らす。外国人は義務教育の対象外で、転校が制度化されていないためだ。長浜市でも卒業生のうち4人は他市や県外に移っており、「市単位の取り組みでは限界がある」と言う。 外国人の教育を研究する早稲田大大学院の川上郁雄教授(日本語教育)は「短期間みっちり学んでも、在籍する学校に戻った後も続けなければ意味がない」と指摘。受け入れる学校の姿勢については「『日本語は向こう(教室)に任せる』では、いけない」と説く。 ◆予算の壁◆ 県の財政構造改革プログラムで、学校に日本語の指導員を派遣する「外国人児童生徒ほっとサポート事業」の予算が今年度の300万円から来年度は120万程度に削られることになり、年間200回程度の派遣が半減する可能性が高い。 児童・生徒十数人を指導員2、3人が教える湖南、長浜両市の指導教室と同規模の教育を学校で実施するには1000万弱の予算が必要になる。多くの事業で県補助金が削られる中、100人以上の外国籍の子を抱える県内の自治体からも「取り組みを広げるのは難しい」という声が上がっている。 継続的な教育、転居に対応するためには、国レベルの制度設計が不可欠だ。川上教授は「日本の取り組みは海外に比べて30年遅れている。必要なのは外国籍児童・生徒を指導できる専門教員を養成すること。各教科の学習をするためには、カリキュラムを作れる教員が不可欠で、国は一刻も早く整備する必要がある」と訴えている。 毎日新聞社
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TONTON
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