婚外子国籍確認訴訟:国籍法違憲判決 子どもの願い、応えた
2009年01月06日
毎日新聞、2008年6月5日
婚外子国籍確認訴訟:国籍法違憲判決(その1) 子どもの願い、応えたhttp://mainichi.jp/select/jiken/news/20080605ddm041040032000c.html
◇夢じゃない?やっと日本人 日本人と認めてほしい--素朴で当然の願いに、司法が応えた。日本人父と外国人母の婚外子に国籍を認めない法の規定を違憲と断じた4日の最高裁判決。日本人の血が流れ、日本で生まれ育ち、日本語を話しながら、日本国籍を認められなかった子どもたち。判決後、母と一緒に抱き合って涙を浮かべ、はじけるような笑顔をみせた。【北村和巳、銭場裕司】 原告の子どもたちは母とともに傍聴席で判決を聞いた。主文の意味を弁護団から知らされると大きな拍手がわき起こり、東海地方に住む原告のマサミさん(10)=小学5年=は「マジで勝ったの? 夢じゃない?」と笑った。 母ロサーナさん(43)は88年にフィリピンから来日し、仕事で知り合った日本人男性との間にマサミさんが生まれた。1年後、父の認知が得られ市役所に「正美」の名で出生届を出した。担当者は「日本国籍ではない」と冷たくローマ字への書き直しを命じた。 「何で私は日本人じゃないの?」。小学2年のころ、マサミさんは日本国籍でないことを知って驚き、泣いた。「外国人」と友達にからかわれ、「学校に行きたくない。転校したい」と漏らしたこともあった。 妹の直美ちゃん(6)=小学1年=は、出生前に父の認知を受けたため日本国籍。同じ両親を持つのに、国籍法の規定が姉妹の境遇を冷たく分けた。「私は日本人と呼ばれたい。妹と同じ国籍になりたい」。控訴審の法廷でマサミさんは訴えた。 日本国籍が必要な警察官になる夢を持つマサミさん。判決後の会見で「うれしくて言葉にできない。日本人でしかかなえられない夢をかなえたい」と笑顔をみせた。直美ちゃんも「お姉ちゃんと一緒の国籍になってうれしい」とほほ笑んだ。 同じく日本国籍が認められたジュリアンさん(14)の母チャーレッテさん(46)は「親の都合で結婚しないで子供を産んで、娘に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。今日やっと日本人になって幸せで安心です」とほっとした表情をみせた。 ◇実情踏まえた判断--棚村政行・早稲田大大学院教授(家族法)の話 画期的な判決で、婚外子差別を禁じた国際人権B規約や子どもの権利条約を尊重した判断だ。価値観の多様化やグローバル化の中で国際的な家族が増えている日本の実情を踏まえている点も妥当。重要な権利でもある国籍について、結婚しているかどうかという親の事情で差別するのは問題だ。婚外子差別の合理性を問う判決で、民法の相続分の差別などにも大きな影響を与えるだろう。 ◇国籍取りに行きたい--マニラ在住の母子も歓迎 【マニラ矢野純一】フィリピンでも判決を歓迎する声が上がった。「すぐにでもこの子を(国籍取得のため)日本に連れて行きたい」。マニラ近郊に住むエロイサ・スエリイラさん(37)はリュウタロウ君(6)の手を握りしめた。 01年に興行ビザで日本に渡り、常連客の日本人男性(59)と知り合い、妊娠した。ビザの期限切れ前に帰国し、リュウタロウ君を出産した。しかし、男性の妻は離婚に同意せず、男性は子供の認知だけしかできなかった。 「今の生活を抜け出したい」とエロイサさん。実家に居候する代わりに、両親や兄弟の子供ら計10人の食事や身の回りの世話をする生活だ。自由に使える金もなく、肩身の狭い暮らしをしている。 エロイサさんが、日本行きを希望するもう一つの理由を話してくれた。今年1月電話で男性ががんを患い余命1年と知った。「子供の将来と男性のためにも早く日本行きが実現できれば」と話した。 フィリピンのNPO「新日系人ネットワーク」の川平健一専務理事によると、同国内で確認できた日本人とフィリピン人の間に生まれた子供は約700人。うち約2割は父母が婚姻していないが、フィリピンの出生証明書には日本人父の名前があるという。 ------------------------------- 毎日新聞、2008年6月5日婚外子国籍確認訴訟:国籍法違憲判決(その2止) 家族の結びつき、重いhttp://mainichi.jp/select/jiken/news/20080605ddm041040044000c.html ◇「婚姻要件」主要国では異例 国籍制度には、親と同じ国籍を得る「血統主義」と、生まれた国の国籍を得る「生地主義」がある。日本は血統主義を採用し、単純な「血のつながり」だけでなく家族の結びつきを重視してきた。 1950年施行の国籍法は父系優先主義で、出生時に日本人父と法律上の親子関係がある子は国籍を得るが、日本人母と外国人父の子には「帰化」しか認めていなかった。84年に法改正され、現行の父母両系主義が採用された。外国人定住者や国際結婚の増加も背景にあり、日本人母と外国人父の子に常に国籍が認められるようになった。 この際に設けられたのが3条1項で、両親の婚姻が出生の前か後かで日本人父の子の国籍に差が生じないようにするためだった。しかし、生後認知の子を婚姻の有無で区別することには、国会審議でも疑問が示され、国連子どもの権利委員会が懸念を表明した。 国は「父母が婚姻している子の方が父とのつながりが強く、法律婚尊重主義が国民感情に沿う」と説明。(1)父の認知があれば「帰化」の許可条件が緩和される(2)婚姻要件を外すと、不法滞在の外国人母が偽装認知で子の日本国籍を得て、違法に在留特別許可を受けるケースが増える--とも主張した。 主要国のうち、日本と同様に血統主義を採用しているのはフランス、ドイツ、イタリア、ベルギーなどだが、婚姻要件は必要としていない。米国やオーストラリアなどは生地主義を採用している。 ◇「多様化」を考慮 国籍法3条1項の規定を巡っては、最高裁第2小法廷が02年に出した判決でも、合憲性に強い疑問が示されていた。今回と同様に、婚姻関係のない日本人父とフィリピン人母の子が日本国籍を求めた訴訟で、小法廷は請求を退けたものの、5人中3人の裁判官が補足意見で3条の規定を疑問視した。 うち2人は「国際化と価値観の多様化で家族の在り方は一様でなく、婚姻で親子関係の緊密さを判断するのは現実に合わない」と、違憲の疑いが極めて濃いと指摘した。別の1人も「合理性に疑問がある」と述べた。 今回の大法廷判決はこの判断に沿ったものとも言え、「家族生活や親子関係に関する意識の変化やその実態の多様化を考慮すれば、日本人父と外国人母の子が、両親の婚姻で日本との密接な結びつきを認められるというのは、現在の実態に合わない」と指摘している。 さらに(1)諸外国は婚外子への差別を解消したり、認知による父子関係成立で国籍を認めている(2)同じ婚外子でも、出生前に認知されていれば国籍が認められる--ことも違憲判断の理由とした。 判決は裁判官15人中9人の多数意見だが、国籍法がもたらす婚外子差別の憲法判断では、「違憲」が12人で「合憲」の3人を大きく上回った。婚外子差別が問題視される中、司法も社会情勢や国際的な潮流を意識したとみられる。 ---------------------------------- 毎日新聞 2008年6月5日婚外子国籍確認訴訟:最高裁判決 要旨http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080605ddm012040072000c.html 婚外子(非嫡出子)の国籍取得訴訟で、国籍法3条1項を違憲とした4日の最高裁大法廷判決の要旨は次の通り。 ■多数意見 国籍法3条1項は、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父が出生後に認知した子について、父母の婚姻により嫡出子の身分を取得するという「準正」が生じた場合に限り、届け出による日本国籍の取得を認めており、日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる子と準正が生じた子との間で、日本国籍の取得に関する区別が生じている。 国籍法3条1項は、血統主義を基調としつつ、我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることとしたものと解され、前記区別を生じさせた立法目的には合理的な根拠がある。また、84年の同法の改正により同項の規定が設けられた当時は、日本国民である父と日本国民でない母との間の子について、父母が婚姻したことをもって我が国との密接な結び付きの存在を示すものとみることには相応の理由があったものとみられ、準正を日本国籍取得の要件としたことには、立法目的との間に一定の合理的関連性があった。 しかし、その後の我が国における家族生活や親子関係に関する意識の変化やその実態の多様化等を考慮すれば、日本国民である父と日本国民でない母との間の子について、父母の婚姻をもって初めて日本国籍を与えるに足りるだけの我が国との密接な結び付きが認められるものとすることは、今日では必ずしも家族生活等の実態に適合するとはいえない。 諸外国においては、非嫡出子に対する法的な差別的取り扱いを解消する方向にあり、我が国の批准した条約にも児童が出生によっていかなる差別も受けないとする趣旨の規定が存し、さらに、多くの国で、認知等により自国民との父子関係の成立が認められただけで自国籍の取得を認める旨の法改正が行われている。 このような国内的、国際的な社会的環境等の変化に照らせば、準正を日本国籍取得の要件としておくことについて、前記の立法目的との間に合理的関連性を見いだすことはもはや難しくなっている。 日本国民である父または母の嫡出子として出生した子はもとより、日本国民である父から胎児認知された非嫡出子及び日本国民である母の非嫡出子も、生来的に日本国籍を取得するのに、同じく日本国民を血統上の親として出生し、法律上の親子関係を有するにもかかわらず、日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる非嫡出子のみが、生来的に日本国籍を取得しないのみならず、国籍法3条1項により日本国籍を取得することもできない。 日本国籍の取得が我が国において基本的人権の保障等を受ける上で重大な意味を持つことにかんがみれば、このような差別的取り扱いによって子の被る不利益は看過し難く、立法目的との間に合理的関連性を見いだし難い。とりわけ、胎児認知された非嫡出子との間の区別の合理性を我が国社会との結び付きの程度という観点から説明することは困難で、母の非嫡出子との間の区別も父母両系血統主義の基本的立場に沿わないところがある。 したがって、同法が、日本国民である父から出生後に認知された非嫡出子についてのみ父母が婚姻しない限り日本国籍の取得を認めないとしている点は、今日においては、立法目的との合理的関連性の認められる範囲を著しく超える手段を採用し、その結果、不合理な差別を生じさせているものといわざるを得ない。 以上によれば、日本国籍の取得に関する前記の区別は、遅くとも03年に原告が法相あてに国籍取得届を提出した当時には、立法府に与えられた裁量権を考慮してもなおその立法目的との間において合理的関連性を欠くものとなっており、合理的な理由のない差別となっていたといわざるを得ず、国籍法3条1項の規定が前記区別を生じさせていることは、前記時点において憲法14条1項に違反するものであった。 日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知されたにとどまる子についても、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したことという部分を除いた国籍法3条1項所定の要件が満たされる場合に日本国籍の取得が認められるものとすることによって、同項及び同法の合憲的で合理的な解釈が可能となる。この解釈は、前記区別による不合理な差別的取り扱いを受けている者に直接的な救済のみちを開くという観点からも相当である。 この解釈は、国籍法3条1項につき、過剰な要件を設けることにより前記区別を生じさせている部分のみを除いて合理的に解釈したものであって、同項の規定の趣旨及び目的に沿うものであり、この解釈をもって、裁判所が新たな国籍取得の要件を創設するものであって国会の本来的な機能である立法作用を行うものとして許されないと評価することは当を得ない。 したがって、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知された子は、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた同項所定の要件が満たされるときは、同項に基づいて日本国籍を取得することが認められるというべきであるから、原告は、法相あての国籍取得届を提出したことによって、日本国籍を取得したものと解するのが相当である。 ■反対意見 <横尾和子、津野修、古田佑紀各裁判官の反対意見> 家族生活や親子関係に関する国民一般の意識に大きな変化があったかは具体的に明らかでなく、家族の生活状況に顕著な変化があるとも思われないし、非嫡出子の増加の程度もわずかである。西欧諸国を中心に、非準正子にも国籍取得を認める立法例が多くなっているが、我が国とは社会の状況に大きな違いがあること等から、その動向を直ちに我が国における憲法適合性の判断の考慮事情とすることは相当でない。 準正により父が親権者となるなど父子関係が強固になる▽届け出のみにより国籍を付与する要件は明確かつ一律であることが適当である▽非準正子の場合には、我が国との結び付きの有無、程度を個別に判断する帰化制度によることが合理的であり、帰化の条件も大幅に緩和されている--などから、準正があった場合をもって届け出により国籍取得を認めることとすることには、十分合理性が認められる。 国籍法が、準正子に届け出による国籍の取得を認め、非準正子は帰化によることとしていることは、憲法14条1項に違反しない。 <甲斐中辰夫、堀籠幸男両裁判官の反対意見> 国籍法は、日本国籍を付与する要件を定めた創設的・授権的法律であり、同法が規定する要件を満たさない場合には、日本国籍の取得との関係では、白紙の状態が存在するにすぎない。出生後認知された非準正子について、同法は、届け出により日本国籍を付与する旨の規定を置いていないから、非準正子の届け出による国籍取得との関係では、立法不存在ないし立法不作為の状態が存在するにすぎない。 同法が立法不存在ないし立法不作為により非準正子に対して届け出による国籍付与のみちを閉じているという本件区別は、遅くとも原告が国籍取得届を提出した当時には、憲法14条1項に違反するものであった。 しかし、違憲となるのは前記の立法不作為の状態なのであって、国籍法3条1項の規定自体は何ら憲法に違反しない。したがって、同項の規定が、非準正子に対して日本国籍を届け出によって付与しない趣旨を含む規定であり、その部分が違憲無効であるとする多数意見の解釈は、国籍法の創設的・授権的性質に反する上に、準正子を出生後認知された子と読み替えることとなり、法解釈の限界を超えている。 同法が徹底した血統主義を法定しているとは解されず、同項が出生後認知された子に対し届け出による日本国籍を付与することを一般的に認めた上で非準正子に対しこれを制限した規定と解することはできない。したがって、同項の規定の解釈から非準正子に届け出による日本国籍の取得を認めることはできないから、原告側の上告は棄却すべきものと考える。 非準正子の届け出による国籍取得については、立法不存在の状態にあるから、その違憲状態を是正するためには、国会の立法措置により行うことが憲法の原則である。多数意見は、法律にない新たな国籍取得の要件を創設するものであって、実質的に司法による立法に等しいといわざるを得ず、賛成できない。 ■国籍法3条1項 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で20歳未満のもの(日本国民であった者を除く)は、認知をした父または母が子の出生の時に日本国民であった場合において、その父または母が現に日本国民であるとき、またはその死亡の時に日本国民であったときは、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。 ■憲法14条1項 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。 ------------------------------- 毎日新聞 2008年6月5日 婚外子国籍確認訴訟:婚姻条件の国籍法違憲 日比間の子10人を認定--最高裁初判断http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080605ddm001040003000c.html 結婚していない日本人父とフィリピン人母10組の間に生まれた子ども10人が、国に日本国籍の確認を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎(にろう)長官)は4日、出生後の国籍取得に両親の婚姻を必要とする国籍法の規定を違憲と初判断した。大法廷は「遅くとも国籍取得を届け出た03年には、規定は合理的理由のない差別を生じさせ、法の下の平等を定めた憲法に反する」と述べ、10人全員の日本国籍を確認した。 最高裁が法の規定を違憲としたのは在外邦人の選挙権を制限した公職選挙法を巡る訴訟の判決(05年9月)以来で8件目。国会は早急な法改正を迫られる。 国籍法3条1項は、未婚の日本人父と外国人母の子について、父の出生後認知と両親の婚姻の両方を日本国籍取得の条件とする。原告は関東地方などに住む8~14歳で、父の認知を得て03~05年に国籍取得を届け出たが、認められなかった。 大法廷は、同項が設けられた84年当時は規定に合理性があったが、その後の家族生活や親子関係の意識変化、多様化で、立法目的にそぐわなくなっていると指摘。「国籍取得は基本的人権の保障を受ける上で重大な意味を持ち、不利益は見過ごせない」と述べた。 国側は「出生後認知のみで国籍を取得できるとするのは、裁判所が新たな制度を設けることになり、立法権の侵害だ」と主張。大法廷は「原告の救済の観点から、婚姻要件を除いた部分を満たせば国籍取得を認めるというのが合憲的解釈」と退けた。 裁判官15人中12人が違憲と判断し、このうち9人が多数意見。藤田宙靖(ときやす)、甲斐中辰夫、堀籠幸男の3裁判官は、原告の国籍取得を認める規定がない立法不作為を違憲とした。藤田裁判官は日本国籍を認めたが、甲斐中、堀籠両裁判官は「違憲状態の解消は国会に委ねるべきだ」と反対意見を述べた。 横尾和子、津野修、古田佑紀の3裁判官は「家族の生活状況に顕著な変化があるとは思われず、規定には合理性があり合憲」と述べた。【北村和巳】 ◇原告側代理人の話 不合理な差別を正面から違憲と認め、高く評価できる。同じ境遇にある多くの子どもたちに希望を与える。 ◇鳩山邦夫法相の話 国籍法の規定が憲法違反とされたことは、厳粛に受け止めている。判決内容を十分に検討して適切に対応したい。 ============== ■解説 ◇家族巡る法制度に影響 最高裁判決は、民法と同様に法律婚による「家族の結びつき」を重視する国籍法の見直しを迫った。最高裁が婚外子差別を違憲と判断したのは初めてで、家族を巡る法制度にも影響を与える可能性がある。 事実婚や婚外子の増加で婚外子差別の見直しを求める声が高まり、住民票や戸籍では婚外子を区別する記載が撤廃された。 一方で、国籍法の差別規定は維持されてきた。日本人父・外国人母の婚外子で国籍が認められない子どもたちは国内に数万人、海外にも相当数いるとの試算もある。国籍がなければ参政権を得られず、就職や日本在留でも制限を受ける。同法の規定は違憲との学説が有力になっていた。 判決は救済の道を開いたが、直ちに婚姻要件が無効になるわけではない。原告と同じ境遇の子どもが法務局に届け出ても自動的に国籍は認められないとみられる。法務省は法改正に向けた検討を始めたが、婚姻以外の要件を盛り込むかなどが議論になるだろう。 婚外子差別では、遺産相続を嫡出子の半分とする民法の規定が残る。法制審議会は96年、相続分を同一にするよう法相に答申したが、たなざらしのままだ。最高裁判決の意味は重く、相続規定の論議が再燃するのは必至だ。【北村和巳、坂本高志】 ============== ■ことば ◇日本国籍の取得 国籍法2条は出生時に法律上の父か母が日本人なら子は日本国籍を取得すると定める。母が日本人ならば無条件に子は日本国籍。日本人父と外国人母の子の場合は、出生時に両親が結婚しているか、未婚でも妊娠中に父が認知していれば日本国籍を取得する。一方、出生後認知された婚外子は、20歳までに両親が結婚した場合に限って日本国籍を取得できる。
婚外子国籍確認訴訟:国籍法違憲判決(その1) 子どもの願い、応えたhttp://mainichi.jp/select/jiken/news/20080605ddm041040032000c.html
◇夢じゃない?やっと日本人 日本人と認めてほしい--素朴で当然の願いに、司法が応えた。日本人父と外国人母の婚外子に国籍を認めない法の規定を違憲と断じた4日の最高裁判決。日本人の血が流れ、日本で生まれ育ち、日本語を話しながら、日本国籍を認められなかった子どもたち。判決後、母と一緒に抱き合って涙を浮かべ、はじけるような笑顔をみせた。【北村和巳、銭場裕司】 原告の子どもたちは母とともに傍聴席で判決を聞いた。主文の意味を弁護団から知らされると大きな拍手がわき起こり、東海地方に住む原告のマサミさん(10)=小学5年=は「マジで勝ったの? 夢じゃない?」と笑った。 母ロサーナさん(43)は88年にフィリピンから来日し、仕事で知り合った日本人男性との間にマサミさんが生まれた。1年後、父の認知が得られ市役所に「正美」の名で出生届を出した。担当者は「日本国籍ではない」と冷たくローマ字への書き直しを命じた。 「何で私は日本人じゃないの?」。小学2年のころ、マサミさんは日本国籍でないことを知って驚き、泣いた。「外国人」と友達にからかわれ、「学校に行きたくない。転校したい」と漏らしたこともあった。 妹の直美ちゃん(6)=小学1年=は、出生前に父の認知を受けたため日本国籍。同じ両親を持つのに、国籍法の規定が姉妹の境遇を冷たく分けた。「私は日本人と呼ばれたい。妹と同じ国籍になりたい」。控訴審の法廷でマサミさんは訴えた。 日本国籍が必要な警察官になる夢を持つマサミさん。判決後の会見で「うれしくて言葉にできない。日本人でしかかなえられない夢をかなえたい」と笑顔をみせた。直美ちゃんも「お姉ちゃんと一緒の国籍になってうれしい」とほほ笑んだ。 同じく日本国籍が認められたジュリアンさん(14)の母チャーレッテさん(46)は「親の都合で結婚しないで子供を産んで、娘に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。今日やっと日本人になって幸せで安心です」とほっとした表情をみせた。 ◇実情踏まえた判断--棚村政行・早稲田大大学院教授(家族法)の話 画期的な判決で、婚外子差別を禁じた国際人権B規約や子どもの権利条約を尊重した判断だ。価値観の多様化やグローバル化の中で国際的な家族が増えている日本の実情を踏まえている点も妥当。重要な権利でもある国籍について、結婚しているかどうかという親の事情で差別するのは問題だ。婚外子差別の合理性を問う判決で、民法の相続分の差別などにも大きな影響を与えるだろう。 ◇国籍取りに行きたい--マニラ在住の母子も歓迎 【マニラ矢野純一】フィリピンでも判決を歓迎する声が上がった。「すぐにでもこの子を(国籍取得のため)日本に連れて行きたい」。マニラ近郊に住むエロイサ・スエリイラさん(37)はリュウタロウ君(6)の手を握りしめた。 01年に興行ビザで日本に渡り、常連客の日本人男性(59)と知り合い、妊娠した。ビザの期限切れ前に帰国し、リュウタロウ君を出産した。しかし、男性の妻は離婚に同意せず、男性は子供の認知だけしかできなかった。 「今の生活を抜け出したい」とエロイサさん。実家に居候する代わりに、両親や兄弟の子供ら計10人の食事や身の回りの世話をする生活だ。自由に使える金もなく、肩身の狭い暮らしをしている。 エロイサさんが、日本行きを希望するもう一つの理由を話してくれた。今年1月電話で男性ががんを患い余命1年と知った。「子供の将来と男性のためにも早く日本行きが実現できれば」と話した。 フィリピンのNPO「新日系人ネットワーク」の川平健一専務理事によると、同国内で確認できた日本人とフィリピン人の間に生まれた子供は約700人。うち約2割は父母が婚姻していないが、フィリピンの出生証明書には日本人父の名前があるという。 ------------------------------- 毎日新聞、2008年6月5日婚外子国籍確認訴訟:国籍法違憲判決(その2止) 家族の結びつき、重いhttp://mainichi.jp/select/jiken/news/20080605ddm041040044000c.html ◇「婚姻要件」主要国では異例 国籍制度には、親と同じ国籍を得る「血統主義」と、生まれた国の国籍を得る「生地主義」がある。日本は血統主義を採用し、単純な「血のつながり」だけでなく家族の結びつきを重視してきた。 1950年施行の国籍法は父系優先主義で、出生時に日本人父と法律上の親子関係がある子は国籍を得るが、日本人母と外国人父の子には「帰化」しか認めていなかった。84年に法改正され、現行の父母両系主義が採用された。外国人定住者や国際結婚の増加も背景にあり、日本人母と外国人父の子に常に国籍が認められるようになった。 この際に設けられたのが3条1項で、両親の婚姻が出生の前か後かで日本人父の子の国籍に差が生じないようにするためだった。しかし、生後認知の子を婚姻の有無で区別することには、国会審議でも疑問が示され、国連子どもの権利委員会が懸念を表明した。 国は「父母が婚姻している子の方が父とのつながりが強く、法律婚尊重主義が国民感情に沿う」と説明。(1)父の認知があれば「帰化」の許可条件が緩和される(2)婚姻要件を外すと、不法滞在の外国人母が偽装認知で子の日本国籍を得て、違法に在留特別許可を受けるケースが増える--とも主張した。 主要国のうち、日本と同様に血統主義を採用しているのはフランス、ドイツ、イタリア、ベルギーなどだが、婚姻要件は必要としていない。米国やオーストラリアなどは生地主義を採用している。 ◇「多様化」を考慮 国籍法3条1項の規定を巡っては、最高裁第2小法廷が02年に出した判決でも、合憲性に強い疑問が示されていた。今回と同様に、婚姻関係のない日本人父とフィリピン人母の子が日本国籍を求めた訴訟で、小法廷は請求を退けたものの、5人中3人の裁判官が補足意見で3条の規定を疑問視した。 うち2人は「国際化と価値観の多様化で家族の在り方は一様でなく、婚姻で親子関係の緊密さを判断するのは現実に合わない」と、違憲の疑いが極めて濃いと指摘した。別の1人も「合理性に疑問がある」と述べた。 今回の大法廷判決はこの判断に沿ったものとも言え、「家族生活や親子関係に関する意識の変化やその実態の多様化を考慮すれば、日本人父と外国人母の子が、両親の婚姻で日本との密接な結びつきを認められるというのは、現在の実態に合わない」と指摘している。 さらに(1)諸外国は婚外子への差別を解消したり、認知による父子関係成立で国籍を認めている(2)同じ婚外子でも、出生前に認知されていれば国籍が認められる--ことも違憲判断の理由とした。 判決は裁判官15人中9人の多数意見だが、国籍法がもたらす婚外子差別の憲法判断では、「違憲」が12人で「合憲」の3人を大きく上回った。婚外子差別が問題視される中、司法も社会情勢や国際的な潮流を意識したとみられる。 ---------------------------------- 毎日新聞 2008年6月5日婚外子国籍確認訴訟:最高裁判決 要旨http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080605ddm012040072000c.html 婚外子(非嫡出子)の国籍取得訴訟で、国籍法3条1項を違憲とした4日の最高裁大法廷判決の要旨は次の通り。 ■多数意見 国籍法3条1項は、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父が出生後に認知した子について、父母の婚姻により嫡出子の身分を取得するという「準正」が生じた場合に限り、届け出による日本国籍の取得を認めており、日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる子と準正が生じた子との間で、日本国籍の取得に関する区別が生じている。 国籍法3条1項は、血統主義を基調としつつ、我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることとしたものと解され、前記区別を生じさせた立法目的には合理的な根拠がある。また、84年の同法の改正により同項の規定が設けられた当時は、日本国民である父と日本国民でない母との間の子について、父母が婚姻したことをもって我が国との密接な結び付きの存在を示すものとみることには相応の理由があったものとみられ、準正を日本国籍取得の要件としたことには、立法目的との間に一定の合理的関連性があった。 しかし、その後の我が国における家族生活や親子関係に関する意識の変化やその実態の多様化等を考慮すれば、日本国民である父と日本国民でない母との間の子について、父母の婚姻をもって初めて日本国籍を与えるに足りるだけの我が国との密接な結び付きが認められるものとすることは、今日では必ずしも家族生活等の実態に適合するとはいえない。 諸外国においては、非嫡出子に対する法的な差別的取り扱いを解消する方向にあり、我が国の批准した条約にも児童が出生によっていかなる差別も受けないとする趣旨の規定が存し、さらに、多くの国で、認知等により自国民との父子関係の成立が認められただけで自国籍の取得を認める旨の法改正が行われている。 このような国内的、国際的な社会的環境等の変化に照らせば、準正を日本国籍取得の要件としておくことについて、前記の立法目的との間に合理的関連性を見いだすことはもはや難しくなっている。 日本国民である父または母の嫡出子として出生した子はもとより、日本国民である父から胎児認知された非嫡出子及び日本国民である母の非嫡出子も、生来的に日本国籍を取得するのに、同じく日本国民を血統上の親として出生し、法律上の親子関係を有するにもかかわらず、日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる非嫡出子のみが、生来的に日本国籍を取得しないのみならず、国籍法3条1項により日本国籍を取得することもできない。 日本国籍の取得が我が国において基本的人権の保障等を受ける上で重大な意味を持つことにかんがみれば、このような差別的取り扱いによって子の被る不利益は看過し難く、立法目的との間に合理的関連性を見いだし難い。とりわけ、胎児認知された非嫡出子との間の区別の合理性を我が国社会との結び付きの程度という観点から説明することは困難で、母の非嫡出子との間の区別も父母両系血統主義の基本的立場に沿わないところがある。 したがって、同法が、日本国民である父から出生後に認知された非嫡出子についてのみ父母が婚姻しない限り日本国籍の取得を認めないとしている点は、今日においては、立法目的との合理的関連性の認められる範囲を著しく超える手段を採用し、その結果、不合理な差別を生じさせているものといわざるを得ない。 以上によれば、日本国籍の取得に関する前記の区別は、遅くとも03年に原告が法相あてに国籍取得届を提出した当時には、立法府に与えられた裁量権を考慮してもなおその立法目的との間において合理的関連性を欠くものとなっており、合理的な理由のない差別となっていたといわざるを得ず、国籍法3条1項の規定が前記区別を生じさせていることは、前記時点において憲法14条1項に違反するものであった。 日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知されたにとどまる子についても、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したことという部分を除いた国籍法3条1項所定の要件が満たされる場合に日本国籍の取得が認められるものとすることによって、同項及び同法の合憲的で合理的な解釈が可能となる。この解釈は、前記区別による不合理な差別的取り扱いを受けている者に直接的な救済のみちを開くという観点からも相当である。 この解釈は、国籍法3条1項につき、過剰な要件を設けることにより前記区別を生じさせている部分のみを除いて合理的に解釈したものであって、同項の規定の趣旨及び目的に沿うものであり、この解釈をもって、裁判所が新たな国籍取得の要件を創設するものであって国会の本来的な機能である立法作用を行うものとして許されないと評価することは当を得ない。 したがって、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知された子は、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた同項所定の要件が満たされるときは、同項に基づいて日本国籍を取得することが認められるというべきであるから、原告は、法相あての国籍取得届を提出したことによって、日本国籍を取得したものと解するのが相当である。 ■反対意見 <横尾和子、津野修、古田佑紀各裁判官の反対意見> 家族生活や親子関係に関する国民一般の意識に大きな変化があったかは具体的に明らかでなく、家族の生活状況に顕著な変化があるとも思われないし、非嫡出子の増加の程度もわずかである。西欧諸国を中心に、非準正子にも国籍取得を認める立法例が多くなっているが、我が国とは社会の状況に大きな違いがあること等から、その動向を直ちに我が国における憲法適合性の判断の考慮事情とすることは相当でない。 準正により父が親権者となるなど父子関係が強固になる▽届け出のみにより国籍を付与する要件は明確かつ一律であることが適当である▽非準正子の場合には、我が国との結び付きの有無、程度を個別に判断する帰化制度によることが合理的であり、帰化の条件も大幅に緩和されている--などから、準正があった場合をもって届け出により国籍取得を認めることとすることには、十分合理性が認められる。 国籍法が、準正子に届け出による国籍の取得を認め、非準正子は帰化によることとしていることは、憲法14条1項に違反しない。 <甲斐中辰夫、堀籠幸男両裁判官の反対意見> 国籍法は、日本国籍を付与する要件を定めた創設的・授権的法律であり、同法が規定する要件を満たさない場合には、日本国籍の取得との関係では、白紙の状態が存在するにすぎない。出生後認知された非準正子について、同法は、届け出により日本国籍を付与する旨の規定を置いていないから、非準正子の届け出による国籍取得との関係では、立法不存在ないし立法不作為の状態が存在するにすぎない。 同法が立法不存在ないし立法不作為により非準正子に対して届け出による国籍付与のみちを閉じているという本件区別は、遅くとも原告が国籍取得届を提出した当時には、憲法14条1項に違反するものであった。 しかし、違憲となるのは前記の立法不作為の状態なのであって、国籍法3条1項の規定自体は何ら憲法に違反しない。したがって、同項の規定が、非準正子に対して日本国籍を届け出によって付与しない趣旨を含む規定であり、その部分が違憲無効であるとする多数意見の解釈は、国籍法の創設的・授権的性質に反する上に、準正子を出生後認知された子と読み替えることとなり、法解釈の限界を超えている。 同法が徹底した血統主義を法定しているとは解されず、同項が出生後認知された子に対し届け出による日本国籍を付与することを一般的に認めた上で非準正子に対しこれを制限した規定と解することはできない。したがって、同項の規定の解釈から非準正子に届け出による日本国籍の取得を認めることはできないから、原告側の上告は棄却すべきものと考える。 非準正子の届け出による国籍取得については、立法不存在の状態にあるから、その違憲状態を是正するためには、国会の立法措置により行うことが憲法の原則である。多数意見は、法律にない新たな国籍取得の要件を創設するものであって、実質的に司法による立法に等しいといわざるを得ず、賛成できない。 ■国籍法3条1項 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で20歳未満のもの(日本国民であった者を除く)は、認知をした父または母が子の出生の時に日本国民であった場合において、その父または母が現に日本国民であるとき、またはその死亡の時に日本国民であったときは、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。 ■憲法14条1項 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。 ------------------------------- 毎日新聞 2008年6月5日 婚外子国籍確認訴訟:婚姻条件の国籍法違憲 日比間の子10人を認定--最高裁初判断http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080605ddm001040003000c.html 結婚していない日本人父とフィリピン人母10組の間に生まれた子ども10人が、国に日本国籍の確認を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎(にろう)長官)は4日、出生後の国籍取得に両親の婚姻を必要とする国籍法の規定を違憲と初判断した。大法廷は「遅くとも国籍取得を届け出た03年には、規定は合理的理由のない差別を生じさせ、法の下の平等を定めた憲法に反する」と述べ、10人全員の日本国籍を確認した。 最高裁が法の規定を違憲としたのは在外邦人の選挙権を制限した公職選挙法を巡る訴訟の判決(05年9月)以来で8件目。国会は早急な法改正を迫られる。 国籍法3条1項は、未婚の日本人父と外国人母の子について、父の出生後認知と両親の婚姻の両方を日本国籍取得の条件とする。原告は関東地方などに住む8~14歳で、父の認知を得て03~05年に国籍取得を届け出たが、認められなかった。 大法廷は、同項が設けられた84年当時は規定に合理性があったが、その後の家族生活や親子関係の意識変化、多様化で、立法目的にそぐわなくなっていると指摘。「国籍取得は基本的人権の保障を受ける上で重大な意味を持ち、不利益は見過ごせない」と述べた。 国側は「出生後認知のみで国籍を取得できるとするのは、裁判所が新たな制度を設けることになり、立法権の侵害だ」と主張。大法廷は「原告の救済の観点から、婚姻要件を除いた部分を満たせば国籍取得を認めるというのが合憲的解釈」と退けた。 裁判官15人中12人が違憲と判断し、このうち9人が多数意見。藤田宙靖(ときやす)、甲斐中辰夫、堀籠幸男の3裁判官は、原告の国籍取得を認める規定がない立法不作為を違憲とした。藤田裁判官は日本国籍を認めたが、甲斐中、堀籠両裁判官は「違憲状態の解消は国会に委ねるべきだ」と反対意見を述べた。 横尾和子、津野修、古田佑紀の3裁判官は「家族の生活状況に顕著な変化があるとは思われず、規定には合理性があり合憲」と述べた。【北村和巳】 ◇原告側代理人の話 不合理な差別を正面から違憲と認め、高く評価できる。同じ境遇にある多くの子どもたちに希望を与える。 ◇鳩山邦夫法相の話 国籍法の規定が憲法違反とされたことは、厳粛に受け止めている。判決内容を十分に検討して適切に対応したい。 ============== ■解説 ◇家族巡る法制度に影響 最高裁判決は、民法と同様に法律婚による「家族の結びつき」を重視する国籍法の見直しを迫った。最高裁が婚外子差別を違憲と判断したのは初めてで、家族を巡る法制度にも影響を与える可能性がある。 事実婚や婚外子の増加で婚外子差別の見直しを求める声が高まり、住民票や戸籍では婚外子を区別する記載が撤廃された。 一方で、国籍法の差別規定は維持されてきた。日本人父・外国人母の婚外子で国籍が認められない子どもたちは国内に数万人、海外にも相当数いるとの試算もある。国籍がなければ参政権を得られず、就職や日本在留でも制限を受ける。同法の規定は違憲との学説が有力になっていた。 判決は救済の道を開いたが、直ちに婚姻要件が無効になるわけではない。原告と同じ境遇の子どもが法務局に届け出ても自動的に国籍は認められないとみられる。法務省は法改正に向けた検討を始めたが、婚姻以外の要件を盛り込むかなどが議論になるだろう。 婚外子差別では、遺産相続を嫡出子の半分とする民法の規定が残る。法制審議会は96年、相続分を同一にするよう法相に答申したが、たなざらしのままだ。最高裁判決の意味は重く、相続規定の論議が再燃するのは必至だ。【北村和巳、坂本高志】 ============== ■ことば ◇日本国籍の取得 国籍法2条は出生時に法律上の父か母が日本人なら子は日本国籍を取得すると定める。母が日本人ならば無条件に子は日本国籍。日本人父と外国人母の子の場合は、出生時に両親が結婚しているか、未婚でも妊娠中に父が認知していれば日本国籍を取得する。一方、出生後認知された婚外子は、20歳までに両親が結婚した場合に限って日本国籍を取得できる。
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TONTON
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